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吟遊詩人の世界

第8回はだしのこころ 感覚の対話「はだしのスクラッチ」にて秘彗の掌編小説『鮫の飢え』と感覚の対話をして『幻肢疼夢』という作品をつくった語り部・ラッパーの志人さんが国立民族学博物館創設50周年記念 特別展 「吟遊詩人の世界」の展示内「うたが生まれる心の小道」にて詩世界の現在地点を展示しています。

こちらでは、第8回「はだしのこころ」で志人さんが秋田市旭南の旧松倉家住宅でパフォーマンスした時の様子を撮った徐津君さんの写真が巨大タペストリーとして使用されていたり、秘彗と対話をして生まれた『幻肢疼夢』の透韻図が展示されていたりと、あの時、あの場で起こった事が、夜に浮かぶ空紙に言葉の星と星を繋いだ星座のように「はだしのこころ」を介し繋がったように感じました。

世界の吟遊詩人を知ることができます

また、こちらの国立民族学博物館50周年特別展の図録「吟遊詩人の世界」も発刊され、そちらには秘彗の事や『鮫の飢え』と対話して生まれた『幻肢疼夢』の事も少し触れらています。

「うたが生まれる心の小道」矢野原佑史(京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員)

昨年度の第8回「はだしのこころ」は私の自宅が水害で家屋も心にも傷(スクラッチ)を負ったまま携わる事になったのですが、展覧会の準備をはじめた頃にアートリンクうちのあかり代表の安藤さんが、秘彗の掌編小説『鮫の飢え』を差し出してくれて、すぐにその場で読み終えると、秘彗の中にある物が私の脳内に入ってくる感覚と同時に秘彗が今まで辿ってきた時を少しばかり垣間見れて、大きく溜め息をついたのを未だ強烈に覚えています。

『鮫の飢え』秘彗

私自身『鮫の飢え』を読む以前に秘彗を何度か送迎する事があり、その時には何か秘彗にしか見えない重く黒く大きな物が迫ってきて秘彗は身体の不調を訴える事が多く、一体それがなんなのか?私はわからないまま、「今日も何もしてあげられなかったな..」と思う日がほとんどでした。

しかし、志人さんが『鮫の飢え』と感覚の対話をして生まれた『幻肢疼夢』をメールで秘彗に送ると志人さんの作品に対し「わたしをわかってくれてありがとう」という答えが帰ってきました。

私はその「ありがとう」という言葉は送迎中に何もする事ができない自分もあったので「本当によかった、本当によかった..」その言葉を心の中で何度も言ったものです。

『幻肢疼夢』志人

『幻肢疼夢』と『鮫の飢え』は内容は勿論異なりますが、温度や周波数はとても近い位置にあり二つに共通するのはずっと受け継がれる神話のような空気感。そして感覚はどんな背景や距離があろうとも繋がる事ができる二人の詩人の美しい物を感じました。

もし秘彗がこれからも繰り返し何か見えない黒い大きな物が迫ってきて痛みを感じた時、その黒色をペン先のインクにして紙に写し出しては、それらを私や皆が読む事や誰かに知ってもらえる事で、秘彗の感覚に少しばかり寄り添い、思い、祈り、そして私含め秘彗と同じような苦しさの中にいる人達と共感しあう事、それが小さな事ではありますが私達にできる事ではないかと思っています。

はだしのこころ展示内「はだしのスクラッチ」で感覚の対話をして頂いた志人さん∞秘彗 山川冬樹さん∞長浜谷晋さん starRoさん∞三上健太郎さん 雪路チーム 秘彗の「鮫の飢え」を見せてくれ「はだしのこころ」をずっとやってきた安藤郁子さん、そして秋田に根を張る地域の皆で作りあげれた事に改めて感謝いたします。ありがとうございます。

第9回「はだしのこころ」はまたも最も秋田が秋田らしい2025年2月です。

ありのままの誰かの意識に触れたり触れられたり、そんな日をアートリンクうちのあかり安藤さんはじめ、秋田の様々な背景の人達と一緒に作れたらと思っております。

よろしくお願いいたします。

「吟遊詩人の世界」も様々な国の人達の痛みや傷、喜び、生活から生まれた吟遊詩人を拝見する事ができますのでよかったら是非伺ってみてください。

投稿者 | 圓井(OVO)

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国立民族学博物館創設50周年記念特別展 「吟遊詩人の世界」

会  期2024年9月19日(木)~12月10日(火)
会  場国立民族学博物館 特別展示館
開館時間10:00~17:00(入館は16:30まで)
休  館  日水曜日

はだしのこころホームページ内作り手インタビューをご覧になってから、みんぱく50周年記念特別展 「吟遊詩人の世界」の展示内「うたが生まれる心の小道」をご覧いただくとより深く展示を感じられると思います。

志人∞秘彗 作り手インタビュー

特別展図録「吟遊詩人の世界」

河出書房新社

国立民族学博物館監修

川瀬 慈(カワセイツシ)

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